
人里離れた泉にひとり通う少女・みおは、ある日、名もなき不思議な男童と出逢う。
彼は人にあらざる存在──長い時を生きる「人外」だった。
村で孤立しながらも無垢な笑顔を絶やさないみおに、男童は次第に心を寄せていく。
しかし、人と人外の交わりには、静かに終わりが刻まれていた。
異形の印、少女の身に秘められた力、村人たちの偏見、逃れられぬ運命、そしてふたりが交わす祈りの言葉。
季節がめぐるなか、彼らは何を願い、何を残すのか。
出会いと別れ、希望と祈り、そして声にならぬ想いのすべてを抱いて。これは、生と死の境に咲く、ひとつの祈りの物語。
2025年7月 改題・改稿