薄氷のうえ(鶴さに / Pawooログ)

Pawooログ。
TVで『本能寺ホテル』を見ながら

なんてことを思いつつ、つらつらと書いたものです。

Pawooのログはログとしてなにかまとめる方法考えようかなぁ。
すごく短いしw

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「どう思う?」
蜜柑をもぐもぐと口にする鶴丸は、また一房口に放り込むと興味なさそうに「どう、とは?」と答える。
「だから、もし本能寺の変で信長が死んでなかったら。信長が天下を統一したら」
画面の中では炎に包まれた本能寺が、今まさにおちようとしている。わかっている。これはフィクションだし、本当の信長がこんな人だったかなんてわからない。
「きみは…」
軽く息をついた鶴丸は何かを探すようにくるりと部屋を見渡す。そうして、「なるようになっただろうさ」と呟いた。
「信長が生き残ろうが、天下をとろうが、きみら人の子は結局今へとたどり着く」
「そ、れ、って…」
それじゃあまるで歴史修正者との戦いそのものがまるで無意味ということになる。言葉の真意を探るように白銀の前髪に隠された瞳を見つめていると、「ほい」と一房差し出された。
「甘い…」
「ふ、だな。……まああまり迂闊なことは口にしてくれるな。俺ときみが立つここも、存外薄氷の上だぜ」
「え…?」
「そんな顔をしなくても大丈夫だ。どう転ぼうが、俺はきみを守るさ。守り抜く」
今度こそ、という呟きはあまりに密やかで私の耳には届かなかった。
 
 


 

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