冬575ログ

欲望も 覆い隠して 雪月華

聖なる夜 明けて君まだ 夢のなか

冬の牙 吐息も凍る 永遠(とわ)の夜

薄氷 踏み出せずにいる 君の傍

堕天使の もがれた羽舞う ごとき雪

降り積もる 白き沈黙 聖なる夜

肌寒夜 口唇なぞる 君の温度(ねつ)

捕らえられ 凍えたままの 網代罠

肌寒夜 言い訳にして 目を閉じて

しどけなく 濡れて堕ちゆく 肌寒夜

風花や 散りゆく夜の 狂い咲き

肌寒夜 散らせた想い 咲いた夢

口唇で 奪う嬌声 肌寒夜

柔肌に 咲かす紅 肌寒夜

狂風に冷たく燃ゆる雪女郎

ひととせの 縁(えにし)を試す 年賀状

聖なる夜 君に抱かれて 淫らな夜

雪の夜 白には戻れぬ 恋と知る

雪遊び子らの赤い手包み取る

三寒の空へと放つやるせなさ

三寒の窓に描きたる笑顔かな

縮こまる背筋も伸びる四温晴れ

地に降りて咲く陽だまりや福寿草

岐路に立ち胸に渦巻く冬銀河

冬薔薇祖母の背筋の凜として

冬薔薇お伽噺の夢を見る

かざす手に紅く灯りて冬薔薇

散る前に自ら落つる寒椿

雪の上滲むことなく寒椿

生け垣に灯りて君待つ寒椿

温室で空を夢みる冬苺

温室でまだ恋知らず冬苺

冬苺つまむ指先欲情す

追求の言葉封じる冬苺

冬苺白いケーキに君臨す

冬イチゴ子にゆずるうち食べそびれ

己の価値知るか木箱の冬苺

初釜や痺れた足を堪え忍ぶ

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